Bitter Sweet

ときめきたいったらありゃしねえ

右頬をさすりながら











諸用があって早起きした。 窓を覗けばほんの少しだけ小さい白の塊がちらついていて、一つ奥の山のてっぺんが真っ白になっていた。いい匂いがした。
事ある毎に噛み合わせを気にする。もう長い事違和感のある右の奥歯を気にかけながら、今日も1日が始まる。


自宅の目の前のバス停に丁度バスがやってきた。 近所のリハビリセンターに通う彼が、車椅子に乗ってバス停の横に停まった。
きっと、数え切れないくらいバスを利用しているのだろう。片田舎のバスに昇降スロープなどというものがある筈もなく、運転手はほとほと愛想の尽きた様な表情をして、車椅子の前輪を上げた。 そんなに露骨な顔をしなくても良いのに、折角いい匂いがしたのに、。


今日1日、の2人の気持ちを
今日1日、僕が勝手に気にかけて
今日1日、何だかどんよりしたまま過ごす。









噛んだ覚えのないストローに歯跡が付いているのを見た時、口いっぱいに含んだレモンティーで口の中を濯いで、そのまま、飲み込む。
ほんの僅かな渋味と酸味で、滅菌した気になる。 

心なしか奥歯の痛みが増した様な気がしたが、今日1日、どんよりするよりましである。







































































♪食卓/tricot