Bitter Sweet

ときめきたいったらありゃしねえ

モックネッカー

 
 
 
 
 
 
 
 
先日高校時代の友人と酒を飲んだ。
 
高校2年に偶々同じクラスになり、音楽や映画の趣味をはじめとした文化的なものに関する熱量が似ていた僕たちは直ぐに気が合った。
友だちが少なかったのもあるし、人見知り同士だし、その中で初めて彼が僕をあだ名で呼んでくれたことが僕の中でとても大きな出来事だったのを覚えている。
 
そんな彼も社会人だった。
頭の中でスーツを着せてみたけれど、どう頑張っても上手く嵌らず、堪らずビールを流し込んだ。
案の定中身は一切変わっておらず、他の人に聞いたらドン引かれるであろう熱量で、角度で話した。
 
 
どんな流れで自己と最近の音楽シーンを投影させて話が進んだのかは定かではないが、
やはり僕らは少し前の、音楽が好きだ。
物事を俯瞰しまくって、ひたすらに自己嫌悪に陥り、どこか気がふれている様なあのひりひりが好きでイヤホンを耳に嵌めてきた。
ミヤジのシャウトを聴いて、峯田の奇妙なダンスを見て、細美さんの血管を拝んで、育った。
 
所詮は自己満足、
 そんな低次元な話ししてんじゃねえよ。
なんて意見はまかり通らないのは事実だけれども、髪も声もハイトーンで、それっぽい歌詞並べて、サークルを誘導する様なバンドはつまらない。
 
 
どう生きてきて、どんな心情で、どんな景色をみたらこんな歌詞のワンフレーズが、こんな一章節が、こんなリフが絞り出せるの
それが見たい。感じたい。
喉元をかっさられる様な、首の裏側が焼ける様な、それでいて目が滲む様なものに触れたいんだ。
 
 
少し前は 何でこんなに俺の事を歌っているんだろう とか、俺の為の歌だ とか、信じてやまない曲や人がいたけれど、 最近何だかそれを感じる事が少なくって寂しい。
 
 
 
結局俺らはロマンチストなんだ。
現実ではなかなか見られない情景を作品を通じて享受したい。
生み出して、発信できたら最高だな。バンドを組もうか。それでなくてもセッションしようって約束した。
死ぬまでにリッケンバッカーを弾くっていう僕の夢は消えた訳じゃなくて、薄くなってただけだった。
 
 
 
 
この下書きを保存して、半年程が経っていた。
 
 
 
片田舎で飲んだ記録は
都会に移り住んだ私には眩しく見えたが
つい先日今の場所で再びあって飲んだ彼とは何一つ変わらないロマンが広がっていた。
 
 
 
youtubeに挙げられた再生回数の芳しくない動画を見ながら視界を滲ませ、少しばかりの活力を貰った。
 
彼等が曲を作ったこの場所で、生きてる。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
♪ファイティングマン/エレファントカシマシ