Bitter Sweet

ときめきたいったらありゃしねえ

木目の波が歪んで見えて





鼻水ズルズルしながら下向いて、イヤホン付けながらマスクも付けて、正に世の全てに絶望した様な出で立ちをして今日も街通りを歩いた。

この時期はやはり何処もかしこもテスト勉強をする学生に溢れ、巷のファストフード店やカフェはキーボードの音やペンをノックする音が跳ね返っている。
かく言う僕も溢れかえった学校の図書館に押し出され、街中でテスト勉強をしようと救いを求めていつものモスバーガーに来たわけだが。


所謂、こういったパーソナルスペースで、極めて私的であるテスト勉強をするという行為が余り得意ではなく、隣の彼のようにiPadをなぞりながらモスチキンを食べるなどといった小慣れた動作は僕には出来そうもない。




知り合い居たらやだな。でも入ってしまったら出れないな。何も食べなくてもいいけど何か頼まないとな。飲み物だけだとよろしくないな。ライスバーガーだったらお腹に入るかな。皆がご飯食べている所でノート広げて大丈夫かな。それらしく振る舞えてるかな。あれ?今入ってきたの同じ学校の人かな。やだな。




こんな思いがぐるぐるぐるぐる。
テスト勉強どころじゃあない。

でもこんな事を考えているのはきっとこの店で僕一人で、なんてことはない、自意識過剰である。



よし、ノートを広げよう。シャーペンと赤ペン出そう。2つ隣の彼女に負けじと大事なところをひたすらマークしよう。





ううむ、でも彼女の髪を耳に掛ける動作と羽織っているオフホワイトのニットが余りにも儚く、洒落ていて、どこか場違いのレッテルを改めて押し付けられたようで、怯む。

問題に向き合う前に自分と向き合わねば。今回のテスト勉強は時間がかかりそうだ。










































♪武蔵野エレジー/THEE MICHELLE GUN ELEPHANT