振り抜け、さらば与えられん
ミサンガが、切れた。
4年前から左腕にミサンガを二本つけていた。
太いやつと、細いやつ。
一つ一つ丁寧に包装されたその袋の中には、内職でこのミサンガを編んでくれたお母さんの名前が記載されていた。
4年前の僕は当時先が見えなかった復興の願掛けをして、固い結び目を作った。
これまで余った紐の部分が千切れたりはしたが、長い間結びが切れる事は無く、それは嬉しくも悲しくもあった。
買った時に「これは三陸沖の網で作られたものなので、もし切れた時は海に還してあげるといいですよ」と言われた。
これでまた、行く理由が出来た。
そして新しいのをまた買って手首に付けたい。願いと、決意と一緒に結びたい。
二つ目だから、少し欲張りな御願いを結んでも良いだろうか。
もっともっと笑える様になって欲しい。
少し涼しくなってきたけれど、海辺まで行って、裸足になって、元の海に還しに行こう。
宙ぶらりんになったボロボロの紐と網の塊には机の上はやはり似合わなくて、青々しい三陸の海が越しに透けて見える様だ。
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